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エネルギー

2025/01/10

ドイツ2024年第3四半期に「再生可能エネルギーが過去最高を記録」

ドイツの電力市場データ情報プラットフォーム「SMARD」は、2024年10月11日、2024年第3四半期の電力取引結果を発表しました。

本コラムでは、SMARDのニュース「再生可能エネルギーが過去最高」を紹介します。

引用元: https://www.smard.de/page/en/topic-article/5892/215096
注: 本コラム日本語版では、比較参考用に1ユーロ162.20円で円換算した金額及びkWh単位で記載しております。

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2024年第3四半期の電力市場
「再生可能エネルギーは過去最高を記録」

2024年10月10日 – 2024年第3四半期、太陽光発電と陸上風力が過去最高を記録しました。発電量は2023年第3四半期と比較して2%増加し、電力消費量は3.7%増加しました。ドイツは商業貿易において純輸入国となりました。

2024年第3四半期のドイツ国内の総発電量は99,354.5ギガワット時(GWh)で、2023年第3四半期に比べ2%弱増加しました*。電力消費量(系統負荷ベース)は3.7%増の112,354.6GWh、残余電力負荷量は1%弱減少して63,143.2GWhとなりました。

太陽光発電と陸上風力が四半期ベースで過去最高を記録

ドイツの発電量のうち 63.6%は再生可能エネルギーによるもので、2023年第3四半期の59.6%に比べて増加しました。再生可能エネルギーによる総発電量は8.8%増の63,188.8GWhでした。最も増加したのは太陽光発電(18.4%)であり、洋上風力発電(12.8%)、水力発電(11.7%)と続きました。

グラフ1. 2024年第3四半期の総発電量の発電源毎の内訳

再生可能エネルギーの2大電源は、それぞれ四半期ベースで過去最高の発電量を記録しました。太陽光発電は24,661.9GWh(2023年第3四半期より18.4%増)、陸上風力発電は19,672.8GWh(同1.1%増)でした。それまでの第3四半期の最高記録はいずれも2023年に樹立されたものでした。水力発電と洋上風力発電は、それぞれ第3四半期で2番目に多い発電量を記録しました。

豊富な太陽、風、雨による高い発電量

ドイツの国立気象局(Deutscher Wetterdienst)によると、今四半期の3ヶ月間すべてで平均を上回る日照量を記録しました。8月は例年より約25%も日照時間が長かったため太陽光発電による発電量は特に多く、今までの記録である2022年8月を24.0%上回る9,038.7GWhとなりました。

また大量の雨と風を伴う激しい嵐もあり、水力発電と陸上風力発電を後押ししました。特に9月のストーム・アネットはそのひとつでした。対照的に、7月の夏の天候は変わりやすく、日照、風雨ともに多かった。このため、太陽光発電の発電量は過去最高を記録し(9,283.6GWh、2022年7月に記録した従来の記録を17.5%上回った)、風力発電と水力発電の発電量も平均を上回った。

グラフ2. 2024年7月1日~9月30日の電源別発電量

対照的に、従来型エネルギー源の総発電量に占める割合は8.1%減の36.4%でした。唯一増加したのは揚水発電所で、3,065.1GWhを発電し、27.1%の増加となりました。揚水発電所は、貯水池に水を満たすために電気を使用するため、従来のエネルギー源としてカウントされます。揚水発電所が使用する電力源は、貯水池に水を満たす際の発電ミックスに依存するため、従来型エネルギー源からの電力も使用することになるため、再生可能エネルギー源としてカウントすることはできません。

時間前卸売電力価格が再び低下

平均卸売価格は75.99ユーロ/MWh(12.33円/kWh)で、2023年第3四半期(90.78ユーロ/MWh、14.72円/kWh)より16.3%低い結果となりました。

2024年第3四半期の最低価格はマイナス73.96ユーロ/MWh (-12.00円/kWh)で、2024年7月14日日曜日の午後1時から2時の間に記録されました。再生可能エネルギーによる発電量は、この時間帯の送電網の負荷 45,778MWh をカバーするのに十分な量であり、太陽光発電だけで 37,410MWh を占めました。

卸売価格の最高値は656.37ユーロ/MWh(106.46円/kWh)で、2024年9月3日火曜日の午後7時から午後8時の間に記録されました。平日夕方の消費量は58,805MWhと一般的に多く、再生可能エネルギーによる発電量は特に少なかった時間帯となりました。

ドイツの前日卸売電力価格

ドイツ近隣諸国の平均卸売価格は64.95ユーロ/MWh(10.53円/kWh)で、ドイツ国内価格より14.5%低い平均卸売価格となりました。スウェーデン(34.96ユーロ/MWh、5.67円/kWh)、ノルウェー(37.76ユーロ/MWh、6.12円/kWh)、フランス(51.14ユーロ/MWh、8.29円/kWh)が特に低い価格でした。最も高いのはハンガリー(120.98ユーロ/MWh、19.62円/kWh)で、イタリア(115.95ユーロ/MWh、18.81円/kWh)、ポーランド(101.47ユーロ/MWh、16.46円/kWh)となっております。

対外商業貿易

ドイツは2024年第3四半期に合計7,209.0GWhを輸出し、2023年第3四半期を58.4%上回りました。ドイツはオーストリア(2,044.9 GWh)に最も多くの電力を輸出し、ポーランド(1,295.1 GWh)、チェコ(971.0 GWh)となっています。

以下のグラフは、再生可能エネルギーによる発電量の多さ、卸売価格、輸出量の相関関係を示しており、欧州域内電力市場の有効性を示しています。ドイツは、再生可能エネルギーが自国の需要の大部分をカバーしているとき、とりわけ電力を輸出しています。これは、近隣諸国が高価な電源からの電力で需要を満たす必要がないことを意味します。

グラフ3. 電力消費量と卸売価格 2024年7月1日~9月30日

ドイツは2024年第3四半期に、近隣諸国から合計19,615.9GWhの電力を輸入しました。これは、2023年第3四半期(19,141.6GWh)と比較して2.5%の増加になります。輸入量が最も多かったのは、2023年第3四半期と同様フランス(4,921.7GWh)で、ついでスイス(3,962.1GWh)、デンマーク(3,956.5GWh)でした。

最も大きな変化はフランスからの輸入で94.6%増加したことと、オランダへの輸出が208.7%増加したことでした。2023年第3四半期のドイツはポーランドとチェコからの輸入量が輸出量を上回っていましたが、2024年第3四半期はこの2カ国への純輸出国となりました。純輸入電力量(輸入から輸出を差し引いたもの)は15.0%減の12,407.0GWhでした。

2024年第3四半期におけるドイツの電力の対外商業貿易の概要:

*実際の発電量は純発電量になります。これは一般供給網に供給される電力から、発電所自体で消費される電力を差し引いたものになります。ドイツ鉄道のネットワークや産業用ネットワーク、閉鎖配電網で発電された電力は含まれておりません。

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御参考用までに、ヨーロッパ地域のOECD加盟国の電力の輸出入量について、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)で検索可能な2022年版のデータでは次の通りです。

欧州では2023年、2024年と太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入量が増えてきておりますので、引き続き再生可能エネルギーの活用方法と電気料金の価格動向について注目していきます。

謝辞: この場を借りて、市場レポートとデータの提供元であるSMARD及びドイツの国立気象局(Deutscher Wetterdienst)に御礼申し上げます。

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