ドイツのミュンヘンで2024年6月19日～21日の3日間、太陽光及び再生可能エネルギーの展示会である「インターソーラー: Intersolar Europe 2024」が開催されました。ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社のルーツであるミュンヘン市の太陽光の展示会であり、今年も弊社創業者及び会長であるDr. Philippが3日間、現地を視察するとともに様々な打合せを行いました。なおPhilippは20年以上にもわたりIntersolarの視察を行っております。

今回は弊社Philippからのレポートをご紹介させていただきます。

**********

今回のIntersolarは昨年と比較してもさらに混んで、各ブースを移動するために歩くのも大変でした。Intersolarの公式発表では、2023年の出展者2500社・訪問者85000人に対して、2024年の出展社3000社(20%増)・訪問者110,000人(30%増)となり、2020年のCOVID前と比較しても、ここまで混んでいるIntersolarは中々なかったのではないかと思います。

Intersolarの公式発表リンク先 (英語): https://www.intersolar.de/press-release/conclusion-exhibition-24

昨年の展示会は出展社も訪問者もヨーロッパ＋中国という感じでしたが、今年は昨年と比較して国際的な雰囲気があり、アジア太平洋地域やアフリカ諸国、北米、南米と世界各地域の人を見かける事が出来ました。また同時開催の蓄電システム（ees Europe）やE-モビリティ（Power2Drive Europe）についても、B to C の一般消費者ではなく、B to B の専門的な出展や専門家でにぎわっていました。充電器やホームエネルギーマネージメントシステムをドイツ市場で展開しているSmartfox GmbH (https://smartfox.de/、弊社Philippも取締役を兼任)も3日間の会期中、ビジネスレベルの高い専門家の来訪で大変忙しく、興味深い打合せが多かったとの事でした。

ドイツやヨーロッパ市場が引き続き好調である事から、モジュールやパワーコンディショナの価格は下落圧力が引き続き強い状況が続いています。大手卸売業者や大手EPCは、Tier 1モジュールメーカーから0.10ユーロ/wp（17.0円/wp）で購入できる状況です。(フルコンテナベース、CIPロッテルダム港)。卸売業者から設置業者や小規模EPCへの販売価格は、もちろん高くなります（約20～25％）。 地元の施工業者から最終顧客への販売価格は、約0.30ユーロ/wp（51.0円/wp）のため、地元の施工業者は、良いマージンを得ているようです。

2023年のインターソーラーでは様々な中国パネルメーカーの出展をみかけましたが、価格競争が激しい状況が続いているせいか、今年のインターソーラーではTier 1 の大手メーカー以外は目立たなかった印象を受けました。

パワーコンディショナ（PV Inverter）では、地元ドイツのSMA社とならんで、中国Sungrow社がとても大きなブースでにぎわっているのが印象的でした。

非常ににぎわっていて国際的かつ専門的な雰囲気の展示会となりましたが、時代を変革するような革新的で画期的なものはなく、今までの製品のアップグレードのようなものが殆どだったのではないでしょうか？

ドイツの太陽光市場は引き続き好調で、市場の予測は下記の通りとなっています。
2023年: 14GW: 住宅8GW、産業用 (屋根上) 3GW、屋外(野立て) 3GW
2024年: 18GW: 住宅9GW、産業用 (屋根上) 3GW、屋外(野立て) 6GW
2025年: 20GW: 住宅6GW、産業用 (屋根上) 3GW、屋外(野立て) 11GW
ドイツの2025年の住宅向け太陽光にはほぼ100%蓄電池がセットになる見込みです。
2025年の屋外(野立て)は、ドイツの屋外向けの規制が緩和され、Agri PV (ソーラーシェアリング)の拡大、が見込まれています。

ドイツの太陽光市場の引合は旺盛ですが、ボトルネックは建設に携わる人材不足となっています。各地域の中小規模の工務店は、住宅向け太陽光等で堅調に推移しますが、大規模案件等を手掛ける大手EPC企業は、6か月~9か月待ちの企業が殆どであり、人気EPCは12か月先までスケジュールが埋まっているとの事です。ドイツEPC大手企業の社長によると、最優先事項は人材不足の解消＝人材雇用となっており人材の争奪合戦が激しくなっている、との事でした。

**********

次回のコラムでは、ヨーロッパの太陽光発電協会であるSolarPower Europeが毎年インターソーラーで発表している太陽光市場レポート「Global Market Outlook for Solar Power 2024 – 2028年度版」のご紹介を、そしてその次はドイツ太陽光協会 (BSW Solar) が発表したドイツの太陽光及び蓄電システムのレポートについてご紹介します。

コラムトップ画像引用元: ミュンヘン空港公式ウェブサイト https://www.munich-airport.com/flights-240142