太陽光発電コラムPV column
エネルギー
2024/02/01
オーストラリア連邦政府の対策の必要性を浮き彫りにする新しい自然エネルギーの数字
世界的な太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギー導入の急増に対応して、様々な地域で蓄電システムの導入量も増えてきております。
残念ながら日本では2013年・2014年と世界の太陽光市場の約20%のシェアを占めていた時がございましたが、2023年は2%弱と年々シェアが下がり続けています。
一方でオ―ストラリアは日本同様に化石燃料由来の火力発電所の発電量が約7割であり、日本の石炭、天然ガスの輸入元第1位と化石燃料資源を豊富に持つ国でありながら、最近は再生可能エネルギー(太陽光12.8%、風力10.7%)や蓄電システム導入を積極的にすすめてきている国でもあります。
2022年の年間発電量 (IEA: 国際エネルギー機関より)
- オーストラリア: 271,532GWh(うち化石燃料由来: 187,536GWh)
- 日本: 1,012,890GWh(うち化石燃料由来: 685,050GWh)
参照元: IEA Energy Statistics Data Browser
今回のコラムでは、オーストラリアのクリーンエネルギー協議会 (Clean Energy Council) が2023年11月29日に発表した再生可能エネルギーに関する報告書についてご紹介致します。
引用元: https://www.cleanenergycouncil.org.au/news/new-renewables-figures-underline-need-for-federal-government-measures
為替換算レート: 1豪ドル = 97.0円
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2023年11月29日
本日発表されたクリーンエネルギー協議会の新しい報告書によると、2023年までの新規大規模再生可能エネルギー・プロジェクトにおける資金拠出の低迷は、今年第3四半期に入っても続いています。
再生可能エネルギー業界の最高機関であるクリーンエネルギー協会は本日、第3四半期再生可能エネルギー・プロジェクト四半期報告書を発表しました。2023年は、系統規模の再生可能エネルギー・プロジェクトにとって挑戦の年であり、これまでのところ資金的にコミットされたプロジェクトは合計509MWに達しました。
2023年第3四半期は、新規の大規模再生可能エネルギー発電プロジェクトへの投資は低調に推移し、合計161MWの発電容量を持つ新規発電プロジェクト2件が資金拠出を達成しただけとなりました。これはクリーンエネルギー協議会が2017年にプロジェクトデータの追跡を開始して以来、4番目に低い結果となりました。
最新報告書では、オーストラリアのクリーン・エネルギーと蓄電システムの投資案件における投資活動に関する詳細な洞察が示されています:
- 大規模な蓄電プロジェクトは、好調だった前四半期と比較すると、第3四半期には資金コミットメントが減少し、直近四半期にはわずか13MWの追加となりました。
- 当四半期中に3つの発電プロジェクトが建設を開始し、86MW の追加容量となっております。また1つのプロジェクトが試運転段階に達し、合計75MWの発電容量に貢献しています。
- 再生可能エネルギー発電・貯蔵プロジェクトは、2023年第3四半期に総額1億5,000万豪ドル(約145億5000万円)の資金を集めましたが、これは2017年以降、四半期ベースで4番目に低いコミットメント額となりました。
「老朽化した石炭火力発電に代わる低コストでクリーンな電力を確実に供給するために、必要な発電を前倒しするという連邦政府のコミットメントを歓迎します。」と、クリーンエネルギー協議会最高責任者のケイン・ソーントンはコメントしました。
「現在から2030年までの間に、オーストラリア連邦政府が2030年までに再生可能エネルギー比率82%を達成するという目標を達成するためには、大規模な再生可能エネルギー事業への資金拠出を年間6.9GWの規模で大幅に増やす必要があります。」
「再生可能エネルギーへの投資は、大幅な新規投資を実現する政策である再生可能エネルギー目標が2020年に達成されて以来、徐々に減少しています。プロジェクトコストの上昇、複雑な許認可プロセス、混雑する送電網、そしてネット・ゼロに向けた競争における世界的な競争の激化の結果、投資率はこの1年でさらに劇的に鈍化させました。」
「再生可能エネルギーが最も低コストの新エネルギーであることに変わりはありません。一方で、エネルギーシステムの移行に必要な莫大なレベルの投資を促進することは、特に世界的な競争が激化している時代においては、米国のインフレ削減法のような奨励策のように、政府の明確な役割になります。」
「投資障壁を解消するための適切な政策設定により、オーストラリアへの投資家の強い関心を引き出すことができます。そして、再生可能エネルギー発電のための新しい容量投資スキームの実施の詳細について、連邦政府と協力することを楽しみにしております。」
「クリーンエネルギー評議会は最近、「Power Playbook」を発表しました。これは、オーストラリアが目標達成に向けて再び軌道に乗り、将来の再生可能エネルギー大国マスタープランの構造を提供することを目的とした、連邦政府への45の提言からなる戦略的パッケージとなってます。」
「この提言には、より大規模な再生可能エネルギー発電への投資を促進する事や、連邦政府、州政府、準州政府間でより多くの資源を配分しプロジェクト評価プロセスを迅速化する事、そして10,000kmの送電線を新たに建設する事が含まれています。」
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文中にあるクリーンエネルギー評議会が発表した「Power Playbook」は、 https://www.cleanenergycouncil.org.au/news/clean-energy-council-releases-power-playbook より発表内容及び資料ダウンロードが可能です。
日本はオーストラリアの約4倍の電気消費量であり化石燃料依存度も約7割と同程度ですが、残念ながら再生可能エネルギー導入比率・電気消費量に対する蓄電池容量ともに日本はオーストラリアと同レベルには達しておりません。
再生可能エネルギー・蓄電システム導入で先行しているオーストラリアの現状や課題、政策提言内容等、日本の将来に多いに参考にできるのではないかと推察しております。
謝辞: この度は興味深い本レポートの掲載について、クリーンエナジー協議会MEDIA OfficerのLIAM STRAUGHAN氏に、ご承諾頂けました事、厚く御礼申し上げます。
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