太陽光発電コラムPV column

ソーラー

2023/01/21

東京都の「新築建物を対象とした太陽光発電の設置義務化」について

2022年に東京都が発表した「新築建物を対象とした太陽光発電の設置義務化」について大きな反響があり、特に「設置義務化」の言葉の印象が強いようです。「義務の対象」はもちろんの事、本制度の実施時期(2025年4月)、「太陽光発電設備導入の効果」や、「実際にかかる費用」等、東京都環境局の太陽光ポータルサイトでは詳細の説明の記載があり充実しております。同サイトの概要をご紹介しつつ、弊社シミュレーションにて試算した結果についてご紹介致します。

東京都環境局の太陽光ポータルサイト内の「太陽光発電設置 「解体新書」・Q&A」より、本制度の概要のポイントと思われる部分を抜粋致しました。なお詳細は同サイト及び「太陽光発電設置 解体新書 ~太陽光発電の“クエスチョン”をひも解く~」(PDF:5,697KB) を御参照下さい。

太陽光パネルの設置義務者について

Q2 太陽光パネルの設置義務者は誰になるのでしょうか?
A2 ハウスメーカー等の事業者です。

(備考)

  • 義務の対象者は、年間2万平方メートル以上の建物(住宅・ビル)を建築する大手事業者(50社程度の見込み)で、都内での年間新築棟数の半数程度の規模を想定しています。
  • 新築のみが対象で、既存の物件は対象外です。

設置基準について

Q4 義務対象事業者は、日当たりの悪い住宅や狭小な住宅などについても、必ず太陽光パネルを設置しなければならないのでしょうか?
A4 本制度は、義務対象の住宅供給事業者に対し、日照などの立地条件や、住宅屋根の大きさなど個々の住宅の形状等を踏まえ、太陽光パネルの設置を進め、供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みとなっています。

(備考)

  • 義務対象の事業者がどの建物に太陽光パネルを設置するかについては、日照などの立地条件や、住宅の形状等を踏まえて、判断することとなります。
  • なお、屋根の面積が一定規模未満の住宅等については、太陽光パネルの設置対象から除外することが可能です。

海外諸都市・国内自治体の動向について

Q7 太陽光パネルの設置義務化は、東京だけが行うものなのでしょうか?
A7 海外諸都市・国内自治体においても脱炭素化に向けた取組が進んでいます。

(備考)

  • 米国では、2019年にニューヨーク市で新築及び大規模屋根修繕する建築物への太陽光発電又は緑化を義務化、2020年以降は、カリフォルニア州でも州内全ての新築住宅に太陽光発電設置の義務化を行っています。
  • 京都府・市では2022年から、一定規模以上の新築建物等を対象に設置の義務化を行っています。また、群馬県で設置の義務化が予定されているほか、川崎市でも義務化が検討されています。

太陽光パネルの発電効率について

Q14 太陽光パネルは夜間・悪天候時には発電できないと思いますが、年間の発電量はどの程度ですか?
A14 住宅屋根に4kWの太陽光パネルを設置した場合、年間4,000kWh程度の発電量が期待でき、これは、一般家庭の平均年間電力消費量の約8割程度に相当します。

(備考)

  • 年間8,760時間(365日×24時間)のうち、太陽光パネルによる発電によって利用できる割合(設備利用率)は平均13.6%※1です。これは夜間は発電しない時間帯があるほか、雨天時には晴天時に比べて発電量が減少する時間帯が一定程度あるためです。
  • 設置容量1kWあたりのシステム年間発電量を約1,000kWh※2とし、住宅屋根に4kWの太陽光パネルを設置した場合、4,000kWh程度の年間発電量が期待できます。一般家庭の平均年間電力消費量を4,573kWh※3とすれば、一年間に必要な電力量の約8割程度をまかなえることになります。

※1…経済産業省 調達価格等算定委員会(令和4年2月4日)より引用
※2…太陽光パネルを水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例。地域や太陽電池の方位、傾斜角度により発電量が変わります。(一般社団法人太陽光発電協会ホームページより引用)
※3…一般社団法人太陽光発電協会 表示ガイドライン(2021年度)より引用

太陽光パネルの維持管理について

Q17 太陽光パネルを設置した後はどのようなメンテナンスが必要なのでしょうか?専門業者に頼むと、いくらくらいかかるのでしょうか?
A17 一般的な住宅地では、定期的に屋根に登って掃除をする必要は殆どありませんが、発電量を日常的に確認することをおすすめします。

(備考)

  • 日常的には、ごみやほこり等が太陽光パネルの表面につくと、発電量が減ることもありますが、雨風で洗い流されてほぼ元の能力に回復すると言われており、一般的な住宅地では、定期的に屋根に登って掃除をする必要は殆どありません。
  • 設置期間中に点検が生じる場合がありますが、費用は専門業者に依頼すると 1回あたり3万円程度と言われています。
  • また、太陽光パネルの附属機器(パワーコンディショナー)は、太陽光パネルの寿命(25~30年程度)より短く、15年程度で一度交換が必要となり、その更新費用は23万円程度と言われています。
  • なお、日常的に発電量を確認し、発電量の低下が確認された場合には、メーカーや販売店等にお問い合わせください。

弊社シミュレーションによる試算結果

東京都環境局の太陽光ポータルサイト内の資料に太陽光発電システム導入効果(4kWサイズ)の参考値の記載はございますが、より詳細な比較のため、東京都の53か所(各区、市、郡部)の役所住所での太陽光発電設備の発電量について、弊社シミュレーションを用いて試算致しました。試算条件は下記の通りとなります。

  • シミュレーション地点(東京都53か所):
    各区市町村役所(島部を除く、全23区、全26市、郡部4町村)
  • 日射データ:
    国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している日射に関するデータベースのMONSOLA-11とMETPV-11を組合せ。
  • 日射データの採用方法:
    各庁の位置情報から最短距離にある日射データ。シミュレーション地点数(53か所)より採用日射データ数(9か所)が少ない為、近隣の発電シミュレーション結果も同一となります。
  • 太陽光発電システム概要:
    太陽光パネル(モジュール): 415ワット x 15枚(6,225ワット ≒ 6.23kW)
    パワーコンディショナ: 単相5.5kW(変換効率 96.0%)x 1台
    屋根方位角: ①南向き0度、②南東/南西向き45度、③東・西向き90度
    屋根傾斜角: 16.7度(三寸勾配)

表1. 東京都(53か所)の年間発電量(各月)、南向き:

表2. 東京都(53か所)の年間発電量(各月)、南東/南西向き:

表3. 東京都(53か所)の年間発電量(各月)、東/西向き:

今回の東京都53か所の発電シミュレーション(表1. 南向き、表2. 南東・南西向き、表3. 東・西向き)はこちらよりダウンロード可能です。

発電シミュレーションデータのダウンロード
(Excelファイル)

東京都国分寺市の住宅での自家消費シミュレーション例:

場所: 東京都国分寺市
建物面積: 約85m²
屋根方位: 南東45度
屋根傾斜角: 16.7度(三寸勾配)
太陽光発電システム概要:
太陽光パネル(モジュール): 415ワット x 15枚(6,225ワット ≒ 6.23kW)
パワーコンディショナ: 単相5.5kW(変換効率 96.0%)x 1台

住宅と太陽光発電システムの電気使用量・供給量(上記試算結果)は、

  • 太陽光発電システムの発電量は年間7,203kWh、うち自家消費分は2,943kWh、余剰電力量は4,260kWh、
  • 太陽光発電システム導入後の住宅の年間電気使用量7,471kWhのうち、太陽光発電設備からの電力供給量は2,943kWh(39.4%)、電力会社から購入する電力量は4,528kWh(60.6%)、

となります。

この太陽光発電システムに蓄電池を導入する場合、蓄電池の最大の費用効果は、

  • 余剰電力量4,260kWh(x 充放電効率 %)x(電力会社からの電力料金単価○○円/kWh-余剰売電単価17円/kWh)、

となります。

東京都の住宅はもちろんの事、太陽光発電システム導入に関する評価等、何なりとご相談下さい。

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